Wi-Fiルーターを買い換える時に、押さえておくべきポイント

特集記事

ネットワークイメージ1.jpg

皆さんは「Wi-Fiルーター」をいつ購入しましたか?おそらく、ずいぶんと前なのではないでしょうか。もしかしたら、光回線にセットのブロードバンドルーターをそのまま利用している方も多いかと思います。インターネットの世界はドッグイヤーと呼ばれ、人間に比べて10倍速く時が進むといわれています。そう考えると、Wi-Fiルーターも定期的に"買い換え"が必要でしょう。

特にWi-Fiルーターは技術革新が意外と頻繁なIT機器。無線LANのスピード向上だけでなく、昨今では買い換えるべき理由も増えてきました。そこで今回は、カタログスペックからは見えにくい「Wi-Fiルーターの買い換え時に押さえるべきポイント」を紹介しましょう。

実はWi-Fiルーターは家庭を守る要なのです

インターネットの世界は、今では様々な形の脅威が存在し、それらが企業、組織だけでなく「家庭」も狙っています。もしかしたら、これをお読みの方は、一家の大黒柱であるとともに「家庭内のシステム管理者」かもしれません。サイバー犯罪者から家族を守るという役割も、あなたの仕事かもしれません。

企業同様、家庭でもセキュリティ人材は不足していますよね。インターネットの世界と家庭の間にあるのは、まさにWi-Fiルーター。だからこそ、今の時代は"セキュリティに強いルーター"が必要です。

これまでのルーターでも、インターネットと家庭の間を区切り、外から中へ攻撃を通さないようにしてくれていました。ところが、昨今では家庭内にインターネットにつながるデバイスが増えました。いわゆる「IoT機器」や「デジタル家電」がそうですね。話しかけると応答するスマートスピーカーや、ハードディスクレコーダーやテレビ、それにゲーム機だってインターネットにつながっています。それらが何らかの攻撃を受けてしまうと機器が乗っ取られてしまい、今度は中から外へ攻撃を行ってしまうかもしれないのです。残念ながら、ほとんどの"昔のルーター"は、そのような中から外への攻撃を止める機能はありません。

求められるのはアップデートできてモダンなWi-Fiルーター

それに、昔と比べて私たちのITライフスタイルは大きく変わっています。そう、「スマートフォン」や「タブレット」がインターネット利用のメインになっていますよね。特にスマートフォンは高機能化し、一昔前のPCと同じレベルの性能を持っています。さらにいうと、スマートフォンはアドレス帳やチャット、SNSの情報だけでなく、GPSを使った位置情報が記録されているなど、手のひらに個人情報のかたまりがあるような者です。これらの情報は、当然ながら狙われることが多いので、スマートフォンを守るという点を考慮したWi-Fiルーターのほうが、時代に合ったものですよね。

Wi-Fiルーターをはじめ、ブロードバンドルーターの設定は難しい、という印象を持っているかもしれません。実はスマートフォン時代以降は、スマホアプリを使ってとてもわかりやすくセットアップできることも重要です。専門用語も多いですが、スマホアプリならば図解やアニメーションを見ながら設定できます。

このようなモダンな仕組みを取り入れた最近のWi-Fiルーターは、Wi-Fiルーター自身も頻繁にアップデートされているのが特徴の一つといえるでしょう。アップデートされているということは本体のセキュリティレベルも徐々に向上するだけでなく、最新の攻撃手法に対しても防御の手段を提供するということ。皆さんも今お使いのルーターが、最後にアップデートされた時期を確認してみてください。もし、このご時世で、1年以上全くアップデートがないものは、買い換えを検討した方がいいかもしれません。

お子さまがいるなら、ゲストWi-Fi機能の有り無しもポイントに

家族を守るという意味では、ちょっと気を付けなくてはならないポイントが増えます。お子さんが小学生、中学生になると、おそらくスマートフォンや携帯ゲーム機を使って遊ぶことも多いでしょう。その時、もしお友だちがあなたの家に来たら、当然「Wi-Fiにつなげたい!」と思いますよね。もしこの時、あなたのご家庭で使っているSSIDとパスワードをそのまま提供してしまうと、少々やっかいなことが起きます。

SSIDとパスワードを頻繁に替える人はいないでしょうから、パスワードを知っているお友だちがあなたの家の前にしゃがみ込み、あなたの家のインターネット回線を勝手に使ってしまうという問題も起きかねません。さらに、もしそのお友だちがパスワードをみんなにこっそりと教えてしまうと、あなたの家は知らないうちに「無料Wi-Fiスポット」扱いされてしまうでしょう。

スマホ+屋外.jpg

多くの方は、自分のWi-Fiルーターにどんなデバイスがつながっているかを理解していないでしょう。このような状況になると、全くコントロールができなくなってしまいます。そこで、最近のWi-Fiルーターでは「ゲストネットワーク」という仕組みが用意されています。これは自宅のPCやデジタル家電がつながるメインのSSIDとは別に、インターネットにだけつながるSSIDを用意できる機能です。お友だちにはこのゲストネットワークにつなげてもらえば、リスクは小さくなりますね。

さらに、セキュリティを考えた時は、ゲストネットワークに接続しつつ「問題のあるデバイスをコントロールする」機能も必要でしょう。例えばゲストネットワークに接続すると、システム管理者(あなたです!)のスマホにプッシュ通知が来て、新たなデバイスをインターネットにつなぐかつながないかを設定できれば完ぺきですね。最近のセキュリティ重視のWi-Fiルーターはこのような機能がありますので、もしあなたの家に我が子の友達がたくさん集まるような場合は、真っ先にWi-Fiルーターの買い換えが必要かもしれません。子どもの友達に「わが家はセキュリティを考え、インターネットは貸さん!」なんていったら、嫌われてしまいますもんね。

一歩進んだ取り組みを今日から

Wi-Fiルーターは、一度設置し利用しだすとなかなかメンテナンスしようと思いにくいデバイスです。が、実はあなたの家庭を守る、大変重要なデバイスなのです。もしあなたの家のWi-Fiルーターが、ほこりをかぶったまま5〜6年放置しているというならば、このタイミングでぜひ、必要な機能の棚卸しをしてみてください。もしかしたら、インターネットの脅威は見えないだけで、あなたの家のデバイスも深く静かにむしばんでいる可能性もあります。

ランサムウェアや不正な仮想通貨マイニング、メールに添付されたマルウェアなど、あなたとあなたの家族を狙うサイバー攻撃は止むことはありません。だからこそ次に買い換えるなら、セキュリティにも強いWi-Fiルーターをお勧めします。




執筆者

宮田 健(みやた たけし)
国内大手SI事業者、および外資系大手サポートにてエンジニア経験を積み、2006年にITに関する記者、編集者に転身。その後はアイティメディアのエンジニア向けメディア「@IT」編集者として、エンタープライズ系セキュリティに関連する情報を追いかける。 2012年よりフリーランスとして活動を開始し、"普通の人"にもセキュリティに興味を持ってもらえるよう、日々模索を続けている。
個人としては"広義のディズニー"を取り上げるWebサイト「dpost.jp」を運営中。公私混同をモットーにITとエンターテイメントの両方を追いかけている。 著書に「Q&Aで考えるセキュリティ入門「木曜日のフルット」と学ぼう!」(MdN)、「デジタルの作法 1億総スマホ時代のセキュリティ講座」(KADOKAWA/中経出版)がある。