何気ない投稿で個人情報がバレる?『特定厨』に気をつけろ!

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デジタルストーキングの恐怖

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『瞳に映った景色から住所を割り出した』

昨年、アイドルがSNSに掲載した写真や動画から住所を特定し、待ち伏せして押しかけるといった恐ろしい事件がありました。

デジタルストーキングとも呼ばれる個人情報の特定行為は、SNSの普及や、スマホのカメラ画質の向上に合わせて、比例するように話題に上がるようになっています。また、SNSは大人だけではなく、中高生のコミュニケーションにも使われています。特にインターネットの知識が未熟な子どもたちは、知らない間に個人情報をSNSに公開してしまいがちです。個人情報の『特定』を避け、安全にSNSを使うには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。

※特定厨とは、ある情報から個人や場所などを特定する人たちのことを指すインターネットスラングです。

SNSの普及と弊害

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出典:「平成29年通信利用動向調査 ソーシャルメディアの利用状況」(総務省)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd142210.html

総務省のデータによれば、平成29年の時点でSNSを利用する人(表内のFacebook、Twitter、Instagram、LINE、その他のSNS) は平均して全体の約4割程度でした。
それからさらに時代は流れ、TikTokなどの新しいSNSも登場し、SNSを楽しむ人口も増えていると考えられます。

多くの人がSNSを始めて「コミュニケーションを楽しめる」「情報収集が容易になった」というメリットを享受している一方で、23.2%の人が「何かしらのトラブルに遭ったことがある」と答えています。

その内訳は「自分の発言が自分の意図とは異なる意味で他人に受け取られてしまった」といった『コミュニケーションのすれ違い』が一番多いですが、「自分の意思とは関係なく、自分について他人に公開されてしまった」、「自分は匿名のつもりで投稿したが、他人から自分の名前等を公開されてしまった」といった『個人情報の流出や特定』に関わるトラブルも追って数を伸ばしています。

『特定』、試してみませんか?

では、実際にSNSの投稿からどんな情報が流出してしまうのでしょうか。
凡例を用意しましたので、ぜひ『何が問題なのか?』を一緒に考えてみましょう。

例①「これくらいなら上げちゃって大丈夫?」

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これは分かりやすいですね。この投稿だけでかなり多くの情報が流出しています。

まずは制服が写っているので、通っている学校の特定ができます。また、飲んでいるドリンクにもお店のロゴが映っています。店舗が分かれば、ある程度の行動範囲が分かるようになるでしょう。

さらに、「塾の帰りに」とコメントを付けています。これで『何曜日に塾に通っているのか』の見当が付くようになりますし、投稿時間から、夜の20時ごろに塾から帰宅するのだということも分かります。先ほどのドリンクを売っている店舗の情報と合わせれば、塾の特定も可能かもしれません。

つまり、この一枚だけでも投稿者への接触が可能になるかもしれないのです。

【気を付けたいポイント】

  • 制服や学校で撮った写真を公開すると、すぐに個人情報特定に繋がる
  • 利用しているお店の情報は、住んでいる地域の特定に繋がる可能性がある
  • 投稿日時で生活スケジュールが特定されてしまうことがある

例②「思いがけない"写りこみ"に注意!」

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一見、購入したコートの写真だけでは情報が分からないように見えます。

しかし、他に写りこんでいるものはないでしょうか。例えばスーパーの袋。利用しているスーパーが分かり、住所特定のキーになるかもしれません。

さらに「雷がすごかった」と天気の話をしていますが、局地的な天気の情報から大まかな地域の特定も可能になります。上記を合わせると、「*時~*時頃にこの地域にいて、近所に**という名前のスーパーがあると思われる」という個人情報が読み取れます。

こちらの写真一枚では難しいかもしれませんが、こうした投稿を日々重ねていると、徐々に個人情報の特定が可能になってくるかもしれません。

【気を付けたいポイント】

  • 被写体以外に何気なく写りこんでいるものが、個人情報や住んでいる地域の特定に繋がる可能性がある
  • 天気の話や地震の話、電車の遅延情報などは、住んでいる地域の特定に繋がる可能性がある

例③「キレイな景色をシェア!しかし思わぬ落とし穴も...」

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こちらについては言うまでもありません。

先ほどの「天気の投稿で地域の特定ができる」という話に加えて、写っている建造物の向きなどで住んでいる家が特定されてしまう恐れがあります。「特徴のない普通の住宅街しか写ってない」と思っていても、これまでの写真や投稿内容と照らし合わせているようならば、すぐに住所がバレてしまいます。

これで犯罪者はインターホンを鳴らしたり、帰り道をつけていくことだってできるかもしれません。

【気を付けたいポイント】

  • 自宅から外を撮った写真は、住所特定の決定打になる
  • たとえ室内でも、間取りから住所の特定が行われる場合がある

番外編:最近流行りの動画でも...

動画の投稿でも、同じように映り込んだ個人情報に注意する必要がありますが、加えて音声にも気を付ける必要があります。例えば、電車や救急車などの音は「近くに線路がある」「大きな車道に面した家に住んでいる」ことが分かります。実際に、ライブ放送から聞こえた電車の音だけで、「電車の種類」が分かり、「現在の時刻と走行ダイヤ」を照らし合わせて、だいたいの建物の位置を特定できたという事例もあります。動画は写真よりも多くの情報を伝える媒体です。より細心の注意を払いましょう。

デジタルストーキングから身を守るには

SNSはコミュニケーションの場であり、「誰とどんなことをした」という日々の出来事の共有が醍醐味のひとつです。
しかし、何でも開け広げに個人情報を晒してしまうと、デジタルストーキングの被害に遭う可能性もあります。

  • 情報を公開する相手を選ぶ。知り合い以外には非公開だから安心、というわけではなく、友人申請の許可も慎重に。
  • 不用意に「天気」や「よく行く店」など、地域や行動を特定されるような発言をしない
  • 写真や動画を撮ってすぐに投稿するのは控え、必ず内容をチェックし、個人情報流出に繋がるようなものが映っていないかを確認する

以上3点を守り、SNSを楽しく利用していきたいですね。


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