「あなたの親は大丈夫?高齢者まで広がるインターネット犯罪被害」

特集記事

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日本全国で被害が拡大するインターネット詐欺。
今まではパソコンやスマホを駆使する20-30代が
被害を受けることが多いのが特徴でしたが
現在は高齢者の方々にも被害が広がっています。

今回は、インターネット詐欺被害にあった
Kさん(男性・75歳)にお話をお伺いしました。


詐欺被害にあったきっかけは一通のSMS

7月某日、きっかけは一通のSMS(ショートメッセージ)でした。
普段からよく利用しているAmazonからのメッセージが届き、特に気にすることもなく開きました。

そのメッセージには「あなたはプライマリー会員になられていますが、2年間入金がございません。本日中にお支払いいただかないと法的措置を取ります。」と記載されていました。

プライム会員という制度は知っていましたが、入会はしておりませんでした。
プライマリー会員というのは初めて聞いて、もしかしたら入っていたかもと考えてしまい
法的措置という言葉に恐怖を感じ、記載されているAmazonカスタマーセンターの電話番号に連絡をしました。

電話では・・・

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① 遅延延滞金は30万円だがこちらで処理したので14万7200円入金すれば問題ない。

② 入金方法は銀行振り込みではなく、Amazonギフト券5万円分×3枚を購入しシリアルコードを教えてほしい。

③ この案件は大手企業も利用している保障協会に審査を行ってもらっている。3営業日以内に審査が終われば14万7200円は帰ってくる。

と言われました。


入金したお金も帰ってくると言うし、普段から利用し信頼しているAmazonの言葉を信じて入金をしました。

入金後、別のサービスからの連絡が・・・

その後、カスタマーセンターから連絡はありませんでしたが、今度は身に覚えもなく利用したこともない動画閲覧サイトから連絡が入り、動画サイトの利用料金49万円分が延滞しており現在裁判の準備もしている、裁判費用も含め60万円を支払うよう要求を受けました。

前回、Amazonカスタマーセンターへ入金した際に出てきた保障協会の名前を出され、支払った14万円返金の審査は実は止まっている、原因はこの動画閲覧サイトの延滞のせいだと言われ、審査を進めるためには、60万円をアマゾンギフト券で入金するよう言われました。

入金方法にも指定があり、コンビニ3店舗を指定され、1店舗で20万円のギフト券を購入し入金するよう指示され、これはおかしいと思いはじめました。

離れて暮らしている息子に相談

feature_20180124_3.jpgすぐに離れて暮らしているIT会社に勤める息子に連絡をしました。状況を説明するとすぐに「詐欺だ!」と言われ、連絡した電話番号を調べてくれました、結果その電話番号は詐欺で使われている電話番号だとすぐ分かりました。

電話は全て無視して、非通知設定の着信はすべて拒否するようアドバイスを受け、その後電話がかかってくることはありませんでした。数日後に自分でも色々と調べてみましたが、Amazonカスタマーセンターというものは存在せず、完全に騙されていたと確信しました。

過去にオレオレ詐欺に遭遇、騙されなかった

実は過去、妻がオレオレ詐欺に遭遇したとき、自分で見抜いて止めることができました。自分は猜疑心が強く詐欺には騙されない人間だと信じ込んでいました。周りからそう思い込んでいる人間のほうが詐欺にひっかかりやすいと言われていたのですが、そのとおりになってしまい残念に思います。

騙されてしまったポイントは「信頼」と「慢心」と「恐怖心」

騙されてしまったことを振り返ってみると、ポイントは3点あったかと思います。

1点目は普段から利用して信頼しているAmazonからの連絡だったことです。月平均1-2回ほど利用しており、孫の七五三グッズや自分の趣味の本などを安く購入することができ大変重宝しておりました。普段から利用して信頼している分、警戒心が薄れてしまったのだと思います。

2点目は自分の慢心があったと思います。先ほど伝えたとおり、自分は猜疑心が強く詐欺には絶対引っかからない人間だと信じ込んでしまっていたことです。今までのやりとりの中でおかしいんじゃないか?と思ったことも何度かあったのに、そこに気づくことができなかったのは、その思い込みが強いせいであったと思います。

3点目は訴訟や裁判という言葉を出されて恐怖を感じてしまったことです。 実は電話をした際におかしいと思い「これってお支払いをした後に別でどんどんお金を請求されるんじゃないですか?」と聞いてみました。そうすると先方は強気にでて「信頼できないなら別にいいです。裁判で白黒つけましょう」と強い口調で威嚇されました。 この年代の人間はいくら後ろめたいことをやっていなくても裁判や訴訟という言葉に弱く、恐怖心を感じて相手のなすがままになってしまうと思います。

被害に遭わないためには、まわりに相談できる環境を作ることが重要

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この詐欺にあってしまった際、周りに相談することもせず、自分一人で物事を進めてしまいました。気軽に相談できる環境を作っておけばこうなることはなかったと思います。

詐欺にあってしまったことを友達に相談することはとても恥ずかしいと感じる方もいるかと思いますが、気軽に相談できる身内や仲間を作り冷静な判断力を取り戻すことがとても重要であると思います。



あなたは両親とのコミュニケーションが取れていますか?

この詐欺は、昨年の上半期に被害が拡大したSMSを使った詐欺で各自治体でも注意喚起がされています。今回の詐欺は少し冷静になり調べることができれば防ぐことができた詐欺です。ですが被害にあったことを言うのは恥ずかしい、もしくは子供に迷惑をかけたくないという親心が働き相談することに躊躇してしまうこともあります。

親元を離れて暮らしていると、定期的にコミュニケーションを取ることが億劫になり、家族の状況を把握することは困難になる可能性は高く、事後に被害にあったことを聞いて「自分に相談していてくれていれば・・・」と後悔することもあります。巧妙な詐欺から家族を守るには、日ごろから率先してコミュニケーションを取ることが重要です。



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