Vol.2 「なんでこんなものに騙(だま)されるの?」について考えてみよう親子対話に使える!ネットとスマホの安全の話

特集記事

BBSSでセキュリティ関係の啓発活動をやっております山本です。

今回は、ネット上の騙(だま)しについて、少し考えてみましょう。

「オレオレ詐欺」の被害が無くならないのはなぜ?

180411_1.png

オレオレ詐欺は電話を使った詐欺行為です。警察の地道なキャンペーンもあって、いまや小学生でも知ってる詐欺です。

皆さん思いますよね。
「絶対に騙されない自信がある!」と。

でも、ここで素朴な質問です。
これだけみんなが知っているのに、なんで被害が無くならないのでしょう?

それは、犯人も工夫をしていて、新しい騙しのシナリオが次々と作られているからなんです。


いきなり「オレオレ、お金を貸してくれ」ときたらもう100%怪しいと思いますよね。
でも、そんなのとっくの昔に無くなっています。

その一つの例を紹介しましょう。
最初に詐欺師は「オレだけど、携帯の番号変わったから新しい番号登録しておいて」と電話をしてきます。
そして数日後「オレだけど相談があるんだ。実は会社のお金を使い込んでしまってさ...」と電話をしてきます。
電話番号は新しく登録したものなので、息子の名前が電話機に表示されている。
つまり息子だと信用してしまうのです。

他にも、警察官に成りすました詐欺師が「犯人逮捕に協力してください」といって騙すケースもあります。

180411_2.jpg

ポイントは、最初のステップで「信用させる」ということ。

人は、一旦信用してしまうと、多少おかしなことや違和感を感じる部分があっても無視してしまいがち。そして信用した情報を補強するような情報ばかり集めてしまいます。心理学的には「確証バイアス」と呼ばれている人間の性質です。

もう皆さんが知っているオレオレ詐欺は存在しないのです。

お子さんに「これおじいちゃんに教えてあげたらどうかな?」と話しをしてみてはどうでしょう?

オレオレ詐欺が、電話からスマホに進出!

最近オレオレ詐欺の犯行グループは、スマホを入り口にした騙し行為に進出してきています。

どんなものがあるでしょうか? もう皆さんもご覧になったことがあるかも知れません。

いくつか実例を紹介します。

<Yahoo!を騙る偽のメッセージ>
Yahoo!を騙った不当請求のSMSメッセージです。
ワンクリック詐欺の変形版です。真面目に確認の電話をすると、名前や住所、電話番号などを聞かれて、個人情報を全部握られてしまい、脅し行為が始まります。

180411_3.jpg
<LINEを騙る偽のメール>

LINEのログイン情報を盗むメールの実物です。
よく見ると文章の一番下から2段目に、日本では使われない漢字が使われていますね。アカウントを乗っ取られると、つながっているお友達にあなたの名前で迷惑メッセージが配信されてしまいます。

180411_4.jpg

他にも、
「Amazonのプライマリー会員の会費が支払われていません。連絡なき場合は訴訟となります。」
「楽天市場の会員アカウントに不正アクセスがあったため、アカウント凍結いたします。会員サイトにログインしてパスワードの変更をお願いいたします」

このような、偽のメールが昨年大幅に増加しました。身に覚えのない契約で言いがかりをつける「不当請求」やIDやパスワードを盗む「フィッシング詐欺」というものです。

これらの手口にも、誰でも知っている大手企業の名前を利用した、騙しの最初のステップ「信用させる」が使われています。これが、見たことも聞いたこともない会社名だったら、誰も反応しないでしょう。

皆さんのスマホにはそんなSMSメッセージやメールが届いていませんか?
届いていたらチャンス!お子さんにそれを見せて、

「ねえ、このメール本物だと思う?」

と話しをしてみてはどうでしょう?

お子さんなりに、
「本物かどうか確かめるにはどうしたらいい?」
「さすがに電話したら危ないよね」
とか、探偵気分で謎解きをするように、楽しくいろいろ考えを巡らせるのではないかと思います。

いっしょに考えることが、自分を守るチカラを育む

180411_5.png

一番大切なことは、あわてずあせらず冷静に「調べてみる」こと。

この手のネット詐欺行為は何百万通ものメールを一気にばら撒きます。ですから電話番号や業者やサービスの名前をネット検索するだけで、簡単に情報を得ることができます。

ご家族の騙されないための情報リテラシーを育んでいくには、どんな犯罪の手口があるかを調べ、安全なものか判断するスキルを養う必要があります。これは学校では教えてもらえない、人生を生きるための知恵でもあります。

騙し行為は往々にして「標的を行動させる」ことを最初のステップとしています。
保護者も子供も、行動させようとする騙しの最初のステップを避けるための行動習慣を身につけていくのが、情報を受け取る側としてのリテラシーとして、大切なのではないかと考えます。

「ネットの脅威は向こうからは襲ってこない、怖いのは騙されて自分から行動してしまうこと」
そのことが頭にインプットされているだけでも、情報リテラシーレベルはグンと上がると思います。

プレッシャーを与えたり、脅したり、急がせたりするメールやメッセージを見たら、それを題材に家族で話しをされてみてください。

BBSSが加盟するフィッシング対策協議会では、ネットの危険から、自分やご家族を守る行動習慣を、「ストップ、シンク。コネクト」という標語で広めていこうという活動を行っています。サイトの方も是非ご覧になってみてください。

STOP.THINK.CONNECT.日本語サイト
URL:https://stopthinkconnect.jp/

次回は、「子供に初めてスマホを持たせる」についてのお話です。

BBSSオンラインセキュリティラボ
シニアエバンジェリスト 山本和輝