Vol.4 スマホルールの作り方(その1) 親子対話に使える!ネットとスマホの安全の話

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BBSSでセキュリティ関係の啓発活動をやっております山本です。

小学校の5-6年、中学1年ぐらいのお子さんを持つ保護者の皆さん。
スマホが欲しいお子さんとの間でこんなやりとりあるのではないでしょうか?

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子:スマホ買って!友達もみーんな持ってる、連絡を取るのに必要。
親:みんなって誰と誰よ?何人なの?ウチはウチ、よそと合わせる理由は無い!

子:塾やクラブ活動の連絡に必要なんだよ~
親:ガラケーでもいいじゃない。メールやメッセージで十分。

子:なんでダメなの、意味わかんないよ
親:ネットはいろいろ危ないことがあるんだよ!

子:じゃあどんな危ないことがあるの?
親:それはだなー!・・・ いろいろ・・・(ヤベっ!説明できない)
・・・とにかく危ないからダメなんだよ!

既にお子さんに渡してしまった人も、利用ルールは必要だとは思っていても、
いざ話をしようとして、子供に反論されて困ることはありませんか?

無理やり押し切ろうとすると、子供が納得できず反発し、親子会話そのものが無くなってしまうなんて事態にもなりかねません。 今回と次回は、どうやって親の伝えたいことに子供から向き合ってもらうか?スマホを渡すときの大事な前提条件について説明していきたいと思います。

■子供にスマホを使わせる際の、大切な3つの条件

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スマホの購入や、細かな利用ルール作りの前に大事な前提条件があります。

【1】スマホは親の所有物
【2】利用目的をはっきりさせる
【3】ルールの設定と運用は根気よく厳密に

この3つについて順を追って説明していきます。

【1】スマホは親の所有物

スマホは大人のお金で子供に与えることがほとんどでしょう。自分の所有物ではないという大前提を納得させることがとても大事です。

親が契約したスマホですので、変な使い方、粗雑な扱いをしていないかチェックするのは、当たり前のことです。定期的に親が子供の利用状況やスマホの中身をチェックして、使い方が悪かったり危険だと判断したりすれば利用禁止するようにします。そうすれば子供は禁止されないための使い方を自分で考えるようになります。スマホの利用のイニシアチブは親がにぎって、子供は許可をもらうという立場をはっきりさせましょう。

スマホを利用する資格 = ルールを守ってつかう(危ない使い方をしない)

ということはしっかり理解させたいポイントです。

私たち大人も様々な社会の常識やルール、法律などを守って利用しています。それが自分や周囲の人守るために必要なことだと理解しているからです。使い方のルールを決めてそれを守っていくことは、世の中のルールを理解し習得していくことでもあります。

もし、何の制約も無く子供にスマホを与えたらどうなるでしょう?
スマホの中身は完全にプライベートなものになって、親に見られたくない内容が増えていくと考えられます。
またスマホ利用が増える中学生という次期は、反抗期と重なるのも問題をややこしくしています。

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日常のやり取りですら、
「もう!大丈夫だから放っておいて!」
「うるさい!いちいち干渉しないで!」
「覗き見するなんて信じられない!」
そういって自分の部屋に閉じこもる子供が多いのではないでしょうか?

そして、部屋にこもって、スマホで友人と会話をしたり、ゲームを一緒にしたりして、自由奔放に使うのではないでしょうか?
もし、何かの拍子に行動がエスカレートし、勉強もせずゲームばかりやってしまったり、不満や怒りをネットにぶちまけたり、他人を誹謗中傷したり、面白半分にいたずらをしたり、18禁のコンテンツを観てまねたりしたらどうなるでしょう?

そのような行き過ぎた使い方を親が知らない間にやっていると思うと、ちょっと怖いですね。

取り返しのつかない重大なネットトラブルのきっかけは、日常のちょっとした逸脱、ささいな問題から引き起こされるものです。子供は自分の失敗やトラブルを隠そうとしますし、他人の干渉もいやがりますが、問題が起きても誰にも相談せず、自分ひとりで解決しようと抱え込んで悩んだ結果が、いじめ自殺、ネット炎上、ストーカー、リベンジポルノ、性犯罪被害などにつながっていきます。

■スマホの使い方チェックの目的は「親子対話」

スマホの使い方チェックの目的は、違反を確認することではありません。
使い方を親子で一緒に振り返り、対話することが目的なのです。

チェックによって日常的な対話、やり取りが生まれれば、子供の変化(トラブルの予兆)を感じ取る機会も増えます。子供も相談するきっかけになるはずです。

もちろん、一方的な検査であってはなりませんし、どこまでチェックするかは、お子さんとプライバシーについての話し合いが必要です。たとえば、プライバシーを守るためLINEの友人との会話は見ないとかの決め事があっても良いと思います。

全部をチェックしなくても、「親の目」が常にあるということがブレーキとなって、トラブルの原因となる行動も必然的に少なくなります。

■もうスマホ渡しちゃったよ!という方へ

もし、そのような制約無しで既にスマホを渡してしまっているのであれば、
以下のようなアプローチを試してみてはどうでしょうか?

・ここまでの子供の使い方を振り返って、どう思うか率直に(真剣に)話をする。
「こんな使い方がよくないと思う。私が納得できないことに、お金を出すことはできない。ちゃんと使い方のルールを話し合わない?」
※最初から1~2ヵ月間、自由に使わせてみて、その後に反省会を開く。という方法もあるようです。確かに使わせてみて、指摘できる具体事例があったほうが、ルールの話し合いはしやすいかも知れないですね。

・一旦、子供のスマホの契約を解約してみる
「2月に法律も変わったし、安全な設定にするため携帯の契約を見直す」などの理由で、一旦解約してみるのはありかと思います。子供からの反発は必至でしょうが、スマホを使いたい欲求の方が勝って必ず折れてくると思います。「携帯の契約ができるのは大人だけである」という事実をはっきり認識させるには「欠乏」状態を経験させることもありなのではないでしょうか?

・利用の誓約書や利用契約書を読ませて署名させる
家庭によっては、独自のスマホ利用契約書(子供にも理解できる)を用意し、読ませて「署名させるという家庭もあるようです。今年話題になった面白い記事があるので是非読んでみてください。

「父から息子へ贈るスマートフォン貸与契約書が本気すぎると話題」
https://www.buzzfeed.com/jp/yuikashima/iphone-contract
※契約書のサンプルもダウンロードできるようですよ。

<重要ポイント>夫婦の間で、方針をしっかり一本化しておく。

お父さんとお母さんで言っていることが違うと、子供は自分に有利な方を味方につけて説得してきます。どちらかといえば男性の方が「これくらい大丈夫だろ!」「いけない事を多少やってみるのも社会勉強だ」といった考えの方が多いかも知れません。

ルールやフィルタリングなどの制限は要らないという考えの方でも、社会的な責任能力の無い未成年に大人の道具を使わせるとどんなリスクがあるかを知れば、理解してもらえると思います。そのうえで、夫婦間で方針決める、どちらかに完全に権限を集約するなどして方針を一本化しましょう。

次回は、2つ目の「利用目的をはっきりさせる」について、説明をしていきたいと思います。

BBSS オンラインセキュリティラボ
シニアエヴァンジェリスト 山本和輝