一ヶ月で約1,000万円!? 詐欺口座への振込み状況がネットで閲覧可能仮想通貨(ビットコイン)を要求する詐欺メールが流行しています

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ビットコインを振込め!という詐欺メール

ビットコインはインターネットや実店舗で使用できる通貨の一種で、「仮想通貨」や「暗号通貨」「デジタル通貨」とも呼ばれています。ネットで簡単に口座を開設できますので、投資などに興味のある方は、既にお持ちの方もいることでしょう。

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一時期、他人のLINEアカウントを乗っ取り、登録されている友人に「自分の代わりにAmazonギフトカードを買って送ってくれない?」と要求するSNS詐欺が流行りました。日本ではAmazonギフトカードやWeb Moneyなどの換金しやすいもので支払わせるネット詐欺が多いのが現状です。ですが、最近は支払い方法としてビットコインを指定するネット詐欺(脅迫)メールが海外で流行り、日本でも確認されています。

参考:「あなたを録画した」 ビットコイン求める詐欺に注意:朝日新聞デジタル(2018年10月2日)
https://www.asahi.com/articles/ASL9W4GQBL9WOIPE01L.html

返信NG。対処方法は、メールを無視すること

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このような、人のプライバシーを暴露するといった詐欺メールの対処方法は、ズバリ無視する事です。
記事でも紹介されているメールの日本語も明らかに不自然で、要求された金額を振り込む人などいないだろうと思いますよね?でも、恥ずかしくてなかなか友人や警察に相談できない人がほとんどでしょう。そして「自分の恥ずかしいプライベートが暴露されたら」と思うと、気が動転して正常な判断ができなくなってしまうのです。
そして、ビットコインは口座を持っていない人にも、支払いを代行するサービスが存在し、意外に支払いのハードルも低いのです。
メールの「アダルトサイトを見ているあなたの動画を撮影した」という脅し文句に対して「550ドル程度のビットコインで社会的信用を無くさずに済むなら」と安易に考え、仮想通貨を振り込んでしまう人も多いのではないでしょうか。

ビットコイン口座(アドレス)の中身はネット公開されてる?

ただこの話には続きがあります。ネット詐欺に使われたビットコインの口座ですが、ビットコインの性質上、口座の残高や、取引履歴がネットで誰にでも確認できるのです。以下で紹介するブログは、ネット詐欺に使われたビットコイン口座の動向を観測したものです。

引用:「あなたがポルノ動画を視聴する姿を公開します」 詐欺メールが無くならないワケ - Not-So-News
http://nots.hatenablog.com/entry/2018/09/21/150000

詐欺メールが送信されて来たことをきっかけに、記載されるネット詐欺口座と公開されている15のビットコインウォレットについて調査を始め、『9月21日早朝時点で4件、被害総額は26万円超程度』だったようですが、わずか3週間後には『2018/10/09 16:40現在:被害件数:142件 被害総額:約981万円です。』とリポートしています。驚くことに、1ヶ月もたたないうちに約1,000万円が集金(?)されている計算です。
※10月12日時点で、遂に1,000万を突破したとの続編記事あり。

自分のビットコインウォレットへの入金も口座さえ持っていれば、銀行振り込みより簡単・迅速に行なうことができ、送金も簡単です。こういった使い勝手の良さも、被害拡大のひとつの要因になっていると考えられます。

仮想通貨に関する被害額は、従来の通貨と同じ規模

平成29年度の警察庁の犯罪白書では、仮想通貨関連事件(ハッキングなどによる盗難含む)の被害額は、ここ半年の間、財産犯(強盗、窃盗、詐欺、恐喝、横領など)の被害額とほぼ同じ規模になっているそうです。
犯罪者にしてみれば、直接ターゲットに接するリスク、お金の引き出しで足がつくリスクもないため都合が良いのでしょう。
また、仮想通貨による犯罪マネーの取り引きは、履歴がネットで閲覧できるとは言え、匿名性が高いのが特徴です。法律や規制の異なる海外の交換所に口座を所有していれば、国内から所有者情報の開示を求めるのは非常に困難です。日本国内の被害であっても、国際送金の壁も無く、集めた仮想通貨をさらに分散して送金されたりしたら、あっという間に警察の捜査の手も及ばなくなってしまいます。
海外の犯罪者であっても、国境を越えて日本国内で展開できる詐欺といえます。

怪しいメールは、件名で検索を

このような自分の身に憶えがありそうなことで、金品を要求してくるメールが来たら、まずは、冷静になって「メールの件名」でネット検索してみるのが良いでしょう。
この類のネット詐欺メールは、数百万通を一斉にばらまきますので、同じタイトルのメール、類似するメールを受け取った人も多数存在します。
また、「アダルトサイトを見ているところを録画した」「仮想通貨でお金を払えと脅迫された」などの文章でググっても沢山の事例が検索結果に表示されます。

以下の注意喚起を促すサイトには、実際の脅迫メールのタイトルがいくつか記載されています。

参考:仮想通貨を要求する日本語の脅迫メールについて - JPCERT/CC
https://www.jpcert.or.jp/newsflash/2018091901.html

「脅されてもあわてず、冷静に調べてみる」
ネット詐欺だけでなく、受け取った情報の確かさを確認するために必要な行動習慣ですね。