すでにネットいじめはInstagramへ移行している!?保護者ができる対策を知っておこう【連載】大人が知らない子供達のネット事情 Vol.6 鈴木朋子/ITジャーナリスト

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ネットいじめは「LINEいじめ」から注目された

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LINEがサービスを開始したのは、2011年。若い世代に圧倒的な支持を集めて急速に普及したため、青少年にはLINEを使ったトラブルも多発しました。そのひとつが「LINEいじめ」です。

LINEはどれだけメッセージを交わしても、通話をしても無料です。子どもたちは24時間、繋がり続けることができるようになりました。学校でのトラブルは、放課後や夜中までひっきりなしに続くのです。また、LINEにはグループ機能があり、大人数で一斉にコミュニケーションができます。

しかし、1対1の会話は他の人には見えません。そこで、グループでの交流を影で操ったり、裏のグループを作ったりして、いじめたい人をさらに追い込むことができます。スマホならではのスクリーンショット機能も、時に悪用されます。1対1だからと安心して他の人の悪口を言ってしまうと、そのスクリーンショットをさらされてしまうのです。LINEには「送信取消」機能がありますが、スクリーンショットを撮られてしまえば、確実な証拠になってしまいます。

こうした事態を受け、LINEも企業としてネットリテラシー教育に取り組みました。専門の部門を立ち上げ、小学生から高校生までを対象とした講演などを行っています。また、こうした問題はLINEというサービスだから起きるのではなく、ネット上でのコミュニケーションの取り方も重要でもあるため、「LINEセーフティセンター」で学校や保護者も利用できるワークショップ教材を配布しています。

LINEセーフティセンター
URL:https://linecorp.com/ja/safety/index
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一方、気軽にコミュニケーションを取れるLINEだからこそ相談窓口にも使えると、いじめを受けた場合の相談をLINEで受け付ける仕組みを自治体などが取り組み始めています。電話をかけることにハードルを感じる世代にとって、LINEで心を打ち明けられる仕組みはありがたいサポートになるでしょう。

人気急上昇のInstagramでもいじめ問題が起きている

中高生に人気のSNSはLINEとTwitterが1位、2位を独占していましたが、ここ数年Instagramの利用率が上昇しています。プリキャンティーンズラボ byGMOが2018年4月に発表した「Instagramに関する調査」によると、中学生の58.8%、高校生の76.9%がInstagramアカウントを持っていることが明らかになりました。

Instagramというと、大人世代には「インスタ映え」という流行語が思い浮かぶでしょう。見栄えが派手なスイーツや美しい風景などをタイムラインに投稿する利用法です。しかし、中高生は24時間で消える「ストーリーズ」機能の方をよく使っています。ストーリーズは日常の何でもない出来事や思いの丈を短文で投稿しており、言うなればTwitterのような使い方をしています。

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Instagramの滞在時間が増えれば、当然トラブルも増えてしまいます。2018年5月、「Instagramのフォロワー数や男友達が多いことをねたまれている」と相談していた熊本県の女子高生が自殺をする事件がありました。LINEと異なり、Instagramではフォロワー数やいいね数が可視化されます。「あの子、性格悪いのに人気がある」と言いがかりをつけられて、いじめに発展することもあるのです。

また、ストーリーズでもトラブルが発生しています。2018年1月に、新潟県の高校で女子生徒が男子生徒の顔に生理用品を貼り付けてからかい、その様子をInstagramのストーリーズで公開する事例がありました。動画を見た友人がそれを保存してTwitterに投稿、TwitterユーザーがYouTubeへ転載、という流れであっという間に拡散していきました。こうした、いわゆる「炎上」では、興味本位で個人を特定する人たちが集まり、過去のSNS投稿やフォロワーなどを検証して、首謀者が追い詰められます。今回も投稿した女子生徒の学校名や名前が特定され、まとめサイトには彼女が過去に喫煙していた様子も誰でも閲覧できる状態で掲載されました。

ここまでの騒ぎにならなくても、知らない人がフォローしてきて何の気なしにフォローを返すとダイレクトメッセージで執拗に迫られたり、コメント欄に嫌がらせコメントを投稿されたりと、ネットに公開されているSNSだからこそのトラブルも起きています。LINEのクローズドなコミュニケーションとはまた異なる問題が起きているのです。

子どもをSNSいじめから守るために

そこでInstagramは、こうした事態を防ぐための取り組みを以前から行っています。不適切なコメントを自動で非表示にする機能や、特定のユーザーのコメントをブロックする機能を用意しています。2018年10月10日には、機械学習を使って、嫌がらせやいじめにあたる写真やライブ動画を検出する仕組みを導入すると発表しました。いじめにあたる写真は削除され、ライブ動画のいじめコメントもフィルタリングされます。

さらに、10代の子どもを持つ親や保護者に向けて、「保護者のためのInstagramガイド」を提供しています。Instagramとは何か、どんなリスクがあるのかなどがわかりやすく解説されています。

『保護者のためのInstagramガイド』
ダウンロードページ

URL:https://www.facebook.com/help/instagram/299484113584685?helpref=uf_permalink
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ネットいじめ問題は、ネットだから起きるわけではなく、実際の生活でも起きている問題がネットにも波及しているものに過ぎません。ただ、ネットでどのような手段で嫌がらせが起きているのか、保護者が把握していれば子どもを守る手立ても考えられるようになります。ITは難しいと敬遠せず、自分も楽しむつもりでSNSを学んでおくといいですね。



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