10代にも人気のInstagram!消える投稿がキモ【連載】大人が知らない子供達のネット事情 Vol.8 鈴木朋子/ITジャーナリスト

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皆さんはInstagramにどんなイメージを持っていますか?「インスタ映え」の流行から、見栄えの良い料理や美しい風景の写真が投稿される「リア充」な空間と思われるかもしれません。もちろん、そうした投稿もたくさんあります。しかし、最近では日常の何気ない出来事や気持ちをシェアする場所にもなっています。それがInstagramが2016年8月に開始した「ストーリーズ」機能です。今回はInstagramと、中高生のInstagram使用法についてお話します。

Instagramは世代や性別を超えて人気

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ストーリーズ機能を説明する前に、Instagramに関するデータで全体像を見ていきましょう。Instagramは写真好きな人に向けたiOSアプリとして、2010年に登場しました。その後、Androidにも対応し、全世界で人気のサービスとなりました。2018年11月に行われた「Instagram Day Tokyo 2018」では、日本国内における月間アクティブユーザー(MAU)数は2900万と発表されています。2016年12月には1600万、2017年10月には2000万、そして2018年9月には2900万ですから、人気の急上昇ぶりがわかります。

また、若い女性に人気というイメージもありますが、Instagramの発表によれば、ユーザーの年齢層は幅広く、男性が全体の43%を占めているとのこと。とはいえ、アクティブに使っているのはやはり女性で、20代~30代が多い印象です。保護者の方でも、Instagramを愛用している人もいるのではないでしょうか。

フィードへの投稿内容は、サービス開始の頃から変化しており、アーティスティックなものや非日常を映した写真よりも、レジャー施設や食事、ファッションやペットなど、身近なものが増えてきています。

国内のユーザーの特徴としては、「#(ハッシュタグ)」を多用することが挙げられます。例えば、自分が友人と出かけた写真をアップするとき、「#海」「#鎌倉」など、写真にまつわるキーワードを本文に付けて投稿するのです。それだけではなく、「#今朝は寝坊」「#靴が合ってないのは許して」といった言い訳や、「#写真好きな人と繋がりたい」とフォローに関する希望などを書き込みます。本来、ハッシュタグはタップするだけで同じハッシュタグを付けている投稿を検索できる機能なのですが、日本では投稿に関して言いたいことをすべて箇条書きで羅列するために使われています。文章でまとめると大変ですが、ハッシュタグなら簡単に思いを伝えることができますよね。

中高生はストーリーズがお気に入り

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中高生に人気のSNSといえばLINEとTwitterでしたが、最近ではInstagramをメインに使っている人も増えています。その転換に大きく影響したのが、2016年8月にサービスが始まった「ストーリーズ」です。

前述のイベントでは、国内の日間アクティブユーザー(DAU)の70%がストーリーズを使っていることが発表されました。しかも、日本の利用者は1日あたり700万件のストーリーズ投稿をシェアしているとのこと。ストーリーズがInstagramで重要な役割を占めていることがわかります。

ストーリーズとは、24時間で自動で消えるショートムービー機能です。消えてしまうのになぜ投稿するのかと思う人もいるかもしれませんが、消えるからこそ必要以上に良く見せる必要もなく、友人と話している様子や「テストうざい」などのつぶやきも自由に投稿できます。自動で消える機能は、LINEのタイムラインにも実装されているほど、ニーズがあるのです。

ストーリーズには最大15秒の動画が投稿できます。動画には逆再生やループ再生などの加工を施すことができます。また、写真やテキストだけを投稿する機能もあり、写真へ文字を入れたり、自撮り写真に動物の顔のような加工を入れたりすることも簡単にできます。ストーリーズが投稿されると、画面上部にプロフィールアイコンが表示されます。閲覧するには、アイコンをタップします。すると再生が始まり、時間が来ると次のユーザーのストーリーズが自動再生されます。一方、つまらないと感じたら画面をタップするだけで、次に飛ばすこともできます。

このスピード感がストーリーズのポイントとも言えます。ストーリーズは投稿する側も、閲覧する側も、ひとつひとつをじっくり吟味する必要がありません。自分の言いたいことを長文でずらずらとストーリーズに書く人もいるのですが、読み切れないうちに次のストーリーズへと遷移してしまいます。すべての文章を読むには、画面をタップしたままにして止めるか、スクリーンショットを撮るしかありません。そんな状態になるなら、ストーリーズでなく投稿にすれば読む人にとって親切なのではと考えてしまいますが、SNSで目立つことを避けたいけれど伝えたい、そんな中高生の心理から発生している行動なのです。

人気のライブ配信機能とは?

また、ストーリーズではライブ配信を行うことができます。自分のフォロワーに対して、動画で生中継ができる機能です。ライブ配信が開始されると、ストーリーズのアイコンに「LIVE」の印が付き、相手の映像を見ることができます。コメントやいいねで配信者と交流することもできます。ライブ配信の映像はストーリーズにシェアすることもできますが、基本的には配信終了とともに消えます。

中高生は、習い事の帰り道など、少し退屈なときにライブ配信をします。中高生のフォロワーは基本的に知り合いなので、複数の友人と話しながら歩いて帰る感覚なのでしょう。大人の感覚では、ライブ配信するならしっかりとした内容を用意しなければと考えますが、中高生はただその時間を共有するために使うため、雑談して終わりというのも当たり前です。

ここまで解説したように、Instagramには、残しておきたいフィード投稿、日常の思いや出来事を投稿するストーリーズ、そして雑談を楽しめるライブ配信、ダイレクトメッセージ(個人メッセージ)など、用途に合わせて使い分けられる機能が用意されています。中高生からの人気が高まるのもわかりますね。

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Instagramストーリーズでライブ配信をシェアすることもできる(Facebookニュースルームより)



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